野球スコアブックアプリ誕生秘話  第2話「回想:山籠もり」

音楽に集中する環境に身を置きたいとの想いから、当時空き家になっていた大分県の友人の祖母の家がタダで借りられるとの事で、そこに引っ越す事となる。結果、6ヶ月住んだ。

今でも私の中で心に深く刻まれている印象深い出来事の一つである。

 

その祖母の家というのが、山奥にひっそりとたたずむ絵に描いたようなボロ屋。(笑 無償で借りておいて贅沢言うなというのが筋ではありますが、適切な表現)

山奥とボロ屋…というのは、

例えるなら「となりのトトロ」の作中に登場するサツキとメイが引っ越してくる環境と家を想像してもらえると良いだろう。

 

ご近所さんが、人ではなく猿。

部屋の中に虫の往来が頻繁にある状況の家屋…。

雨漏りが酷く、土砂降りの日には、室内なのにレインコートを着て寝た日もあった…。

 

来る者を拒まない性格や物事に動じない性格は、この時の山籠もりで培われたのかもしれない。

 

インターネットはADSLが普及し始めた時代。

そんな時代の山奥には、当然ネット回線なんぞ通っているはずもなかった。

 

電気と水は辛うじて通っていた。ガスは通っておらず、料理は、全てカセットコンロで対応した。

 

当時食べていた物は、山から猪を狩りに行って…と書いたら面白いのだろうが…。(笑)

実際は、買い貯めていたパスタか、山を下りていくとある昔ながらの駄菓子屋・雑貨屋で売っている菓子パンで

飢えをしのいでいた。

この頃、体重計に乗った記憶がないので、正確な事は覚えていないが、

今でも細身である私の身体は、更にシェイプアップされていた事は言うまでもないだろう。

人生で一番痩せていたのはこの時期かもしれない。

 

お湯は出る事がなく、風呂は灯油で沸かすタイプのものだった。

灯油がなくなるとスタンドへ灯油補充に行く必要がある為、お手軽というわけではない。

何日ごとに風呂に入っていたか?は…、皆さんのご想像にお任せする。

 

都心からは原付で30分。バイトする度に下山していた。

山道を下山する時に原付のスピードでゆっくり移り変わっていく景色達…。

自然風景、田園風景、草木のにおい、風のにおいが心地よく好きだった。

 

そして何より、山奥という事もあり、夜中でもアンプに繋いでギターをかき鳴らせる環境がとても気に行っていた。

「うるさい!」とクレームを言う人が居ない環境は、都会では得られない。

夜は、虫の鳴く声をBGMに、ギターの独演会…といったところだ。

 

この時バイトしていた仕事は、PCのインストラクター、工場の機械メンテナンスのエンジニア、インターネットカフェの店員など、パラレルワークといえば格好良いが、音楽の為、生活の為と割り切って、色んな仕事をした。

 

傍から見たらストイックとも思えるかもしれない、たった一人で山籠もりしながらバイト生活をしてまで何故、音楽を続けていく事ができたのか?

それは熱い友情と信頼で繋がった仲間がいたからだ。

〈この続きは次の投稿で〉

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